歯を削る道具、どうキレイにしているの?
当院の感染対策・衛生管理について

「歯医者さんは口の中の歯を治療するんだから、道具がキレイなのは当たり前だろうけど、じゃあ実際はどうやってキレイにしているのだろうか??」
もちろん、衛生面、感染防止には万全の対策をしています。
私たちが対策を行うことだけでなく、患者さんに「こういうことをやっていますよ」ということを知っていただき安心して診療を受けてもらうことも大事だと思います。
口の中に治療器具を入れる歯科医院にとって、感染対策は「当たり前」です。
コロナ前から歯科医院の感染対策は徹底していました。

当院の特徴:ユニット(診察台)から出る水は、キレイです

ユニットの中の水をずっと回し続けることで、キレイにしています。

レポート!歯医者さんで使う道具、
どうやってキレイにしているの?

「歯医者さんで使う道具、どうやって消毒にしているの?」
「診察台の脇の机の上にある『水色の袋に包まれたもの』は、一体どういう状態なの?」
歯科医院としては当たり前ですが、まだまだ知られていない歯科医院での「衛生管理・院内感染」対策についてお知らせします!

目次

  1. 衛生管理~診察台の脇の台の治療器具、どうやってキレイにしているの?
  2. 当院ならでは感染対策6つ
  3. 「感染の3因子」って何?

1. 衛生管理~診察台の脇の台の治療器具、どうやってキレイにしているの?

よく歯医者さんで見るこのセット、実はかなりの手間を掛けて「滅菌(めっきん)」しています。

A. 薬液で超音波洗浄する
水で流す洗浄だけでなく、薬液につける&超音波洗浄機で洗浄します。

B.「オートクレーブ(※)」で滅菌します

水色の滅菌パックでパックした後に、「高圧蒸気滅菌器」で「高圧蒸気滅菌法」という、熱エネルギーで微生物を殺滅(さつめつ)します。
乾熱した状態の滅菌と比べると、水分(蒸気)がプラスされるとたんぱく質の変性が促がされるため、短時間で「無菌性保証水準(滅菌保証レベル)」に達します。

C. 患者さんのところへ

素朴な疑問

Q. どうして歯の治療に使う道具は「水色の紙とビニール」に包まれているの?

A. 水色の袋は、滅菌バッグといいます。
治療時使うまでの間も「無菌」を保つために「滅菌バッグ」で包装して、オートクレーブで滅菌し、内部と外界を微生物的に隔離し続けます。
滅菌バッグの紙部分には、滅菌材(蒸気や酸化エチレンガスなど)は通すけど微生物は通さない程度の「貫通孔」があり、
その隙間を利用して内部を殺菌するのです。
参考:クインテッセンス出版株式会社「歯科医院の感染管理 常識非常識」

2. 衛生管理、具体的にはどんなことをやっているの?

当院での具体的な感染対策を6つ、ご紹介します!

1. 全診療室が「個室」

コロナ禍後の2025年4月に開業した当院は、そもそもの医院の作りが感染対策に対応、「全診療室が個室」です。
隣の診察台の間に仕切りがあるだけではないため、隣の診察台の治療時の水の飛沫がこない、感染物を持ったスタッフとすれ違うこともありません。
感染対策だけでなく、治療時の会話のプライバシーも保たれ、治療も落ち着いて行えます。

2. 滅菌処理されたタービン(歯を削る機械)や治療器具を使用

歯科医院としてスタンダードですが、手間をかけて洗浄、消毒、滅菌を行っております。

3. オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)設置

滅菌パック(水色のビニールの包装)に入れた治療道具を、「オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)」を用い、高圧高温で「滅菌(めっきん:ウイルスや細菌を死滅/完全に除去し無菌状態にすること)」します。

4. 歯科用ハンドピース洗浄装置を設置

歯を削る機械「ハンドピース」の内部の隅々まで、しっかりと注油・洗浄します。

5. 口腔外バキューム設置

歯を削る時や、詰め物など削る際に飛び散る粉塵や水を吸い込む機械「口腔外バキューム」を設置しています。

6. キャッシュレス決済

キャッシュレス決済だと、お金のやり取りをしなくて済むため感染対策になります。

3.「感染の3因子」って何?

当院では院内の感染予防ために、「感染の3因子」を取り除きます。

「感染の3因子」

1. 病原体の除去
歯科医院では、菌やウイルスの数を減らす「除菌」ではなく、次亜塩素酸ナトリウムや消毒用アルコールで菌やウイルスを無毒化する「消毒」が徹底されています。
また、治療で使う器具はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)での「滅菌」を徹底します。
治療中の水の飛沫等を吸い込む「口腔外バキューム」を設置し、浮遊物を吸いとります。

2. 感染経路の遮断
標準予防策(スタンダードプリコーション:standard precautions)という対策を取ります。
具体的には、すべての患者さんのすべての血液、唾液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜などは感染性があるものとして取り扱わなければならないという考えを徹底し、通常の診療時も感染のリスクがあるものとして対応しています。
具体的には、手袋やマスク等を装着し(ディスポーザブル:使い捨て)、処置内容によりガウンを装着することもあります。

3. 宿主の抵抗力増強
宿主(しゅくしゅ)とは人自身、つまり当院に関わる患者さんやスタッフです。
口腔ケアを継続的に行うことは、免疫力維持に効果的です。
患者さんやスタッフの抵抗力・免疫力増強には、健康管理も大切です。

歯科医院では衛生管理と感染予防を、普段から手間をかけて行っています。
患者さん、そしてスタッフのためにも感染対策は最重要課題です。
「お口の中を清潔に保つこと」は、「免疫力アップ」なのです。
このページでご説明したこと、難しいことです。
分からない事、もっと説明してほしい事、直接遠慮なくご質問ください!

常盤平の皆様に歯科医院の衛生管理について知っていただくことも、歯科医師としての大事な仕事だと思っています!

滅菌(めっきん)・除菌(じょきん)・殺菌(さっきん)、何が違うの?

字だけ見ていると似ていて見分けが付きづらいですが、内容は下記のように全然違います。

滅菌(めっきん):細菌やウイルスの完全に死滅させ、除去する
殺菌(さっきん):病原性を持った菌やウイルスをある程度減らす
除菌(じょきん):細菌数を減らす