歯ぐきから血が出る(歯周病)

歯周病って「別に歯ぐきから血を出ているだけじゃん」と思いますが。
血が出るということは「炎症」があるということなんですよ。

琢先生

炎症って何ですか?
身体を治そうという過程で起きることです。
最近「はたらく細胞」の話をよくするんですけれど・・・そこに細菌がいる⇒細菌を体がやっつけようとする⇒血液の中に白血球の兵隊たちがいる⇒白血球が一生懸命細菌を食べてくれる⇒食べてくれた死骸が「膿(うみ)」なんですよ。
歯ぐきから血が出るということは、歯ぐきにいっぱいある毛細血管から血をいっぱい送り出そうとする⇒容積が増える⇒歯ぐきが腫れる⇒歯ブラシでこすっただけで血が出やすくなるんです。
いっぱい血液を送ろうとしているから、腫れるんです。

琢先生

「腫れている」=「血がいっぱい送り込まれている」という証拠なんですね。
毛細血管の容積も上がってくるので、組織の粘膜も薄くなって破れやすくなって、血が出るんです。
それも図を使って説明します。

琢先生

図を使って説明、してもらいたいです。(笑)
手書きって分かりやすいですよね・・・そういえば、先生は油絵をならってたとのことでしたね。
診察時、ぜひよろしくお願いいたします。
副院長は、歯科大卒業も歯周病の勉強をしています。
例えば豚の口についている歯石で歯周病の研究をするんですが・・・豚は人間に近いって言われていて、歯石がたくさんついているんですよ。(汗)
学生での勉強が終わった後も、学び直ししている勉強家です。
→詳しくはコチラ

健先生
歯周病とは?
歯や歯のまわりの組織に細菌が侵入して「感染症」を起こしている状態です。
歯周病の毒素は、歯を支えている骨(歯槽骨:しそうこつ)を溶かし(骨吸収:こつきゅうしゅう)、歯を失う原因にもなります。
「生活習慣病」の一つでもあります。
痛みなどの自覚症状はほとんどなく「サイレントディジーズ」(Silent Disease:静かなる病気)と呼ばれ、自然はに治らず、治療をしなければどんどん進行する「病気」です。
「毎日歯磨きしているのにもかかわらず歯が抜けてしまった」このような場合は歯周病なことが多いです。
30歳以上の日本人の10人に8人は、歯周病と考えられています。
歯周病の治療は「早期発見・早期治療」がとても大切です。

歯周病の「歯が抜けること以外」のリスク
歯周病の怖さは、歯を失うことだけではありません。
歯周病=歯肉から入ったバイキンにより慢性的に炎症物質を全身に運んでいる状態なので、免疫力を低下させます。
全身疾患に関係するもかなり恐ろしいことが、最近の研究で分かっています。
1. 狭心症・心筋梗塞・脳梗塞
歯周病菌は、歯ぐきの毛細血管から侵入し、全身を駆け巡り、血管内でプラーク(血栓。歯垢だけでなく血栓もプラークといいます)を作ります。
その血栓が脳梗塞、狭心症や心筋梗塞の一因となります。
歯周病の人は、そうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。

2. 糖尿病
糖尿病の人は歯周病に罹るリスクが2~3倍高いと言われ、歯周病になると血糖コントロールが悪くなるという相関関係があります。
逆に糖尿病の人が歯周病治療をすることで、血糖値コントロールが改善するとい報告も多くされています。
参考:国立国際医療研究センター「歯周病と糖尿病の深い関係」
3. 妊娠性歯肉炎/低体重児早産
エストロゲン(特定の歯周病菌の増やす)プロゲステロン(炎症の元のプロスタグランジンを刺激)の2つのホルモンは、妊娠後期には月経時の10~30倍になるといわれているため「妊娠性歯肉炎」が起こりやすくなります。
また、早産のリスクは7倍にものぼり、喫煙やお酒や高齢出産よりもリスクが高いのです。
→詳しくはコチラ(子供の歯の治療)もご覧ください
参考:日本臨床歯周病学会「歯周病と妊娠」
4. 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
誤嚥性肺炎とは、バイキンを含む飲み込んだものが誤って気管に入ってしまい、炎症を起こすことです。
誤嚥性肺炎の原因となるバイキンは、歯周病菌が多いといわれています。
歯周病の治療の流れ

歯周病の怖さは分かりましたが、虫歯と違って歯周病の治療のイメージが沸きません。
歯医者さんに来て治療、というより毎日の歯磨きがメインになります。
歯医者さんに365日来るわけにもいかないので、まずは自分で守る、もちろんその方法の習得は歯磨きプロである歯科衛生士(国家資格です)が丁寧にお知らせしていきます。
虫歯は削って詰めれば終わりですけれど、歯周病は「ご自身の歯ブラシ」と「定期的な歯科医院でのメンテナンス」の2本の柱で進行を抑えます!
重度の歯周病の場合、歯周外科、再生療法という治療の選択肢もあります。

琢先生

歯医者さんでの治療よりも、自分の歯磨きが大事なんですか?
そういう感覚でいてください。
しかし、当院がばっちりサポートしますので安心してくださいね。

琢先生
教えて先生!歯周病Q&A
Q. 骨吸収って何ですか?
A.「こつきゅうしゅう」と読みます。
よく「あごの骨がやせる」と表現しますが、その事です。
歯周病菌により骨が溶かされることもその原因の一つです。
吸収=溶かされる、とお考えて下さい。
Q. メンテナンスの時に歯間ブラシを勧められたけど、歯の間が空きそうで心配です。
A. 実は歯ブラシで取れる汚れは5割、デンタルフロスを使っても8割といわれています。
その補助をするのが「歯間ブラシ」です。
おすすめした以上使い方も丁寧にお知らせしますので、分からないこと不安なことは何でも聞いてください。

Q. 歯科検診の時にチクチクやるの(下記画像参照)は、なぜですか?
A.「ポケット測定」という、歯周病の有無、歯周病ならその程度や状態を調べるための重要な検査です。

Q. チクチクの検査が痛くて、歯医者に行かなくなってしまいました。どうしたらいいでしょう?
A. 歯肉の炎症が強いときは、ある程度落ち着いてからポケット検査をする場合もあります。
歯肉の炎症が強いと歯石を取るだけでも痛いときもあるので、まずはブラッシング指導を行い、ご自身での歯磨きをしっかりして炎症か少し落ち着いてから歯石を取るようにしています。
「歯石を取るのが痛くて歯医者に行きたくない」となる事は避けたいので。
Q.「ポケット測定」は、何ミリならOKなんですか?
A. およそ目安は下記のとおりです。
1~3ミリ:健康な状態(場所によって変わります)
4ミリ以上:歯周病
Q. 歯周病は、痛くないんですか?
A. 最初のうちは痛みがないことが多いです。
歯ブラシで出血する時は、あまり痛みはないかと思います。
痛みが出てくる=重症な可能性があります。
「歯肉が大きく腫れている」「ズキズキ痛い」「歯がグラグラ」
そのような状態ですと、歯を残せず抜歯になってしまうケースもあります。
ですが、重度の歯周病も歯科医院での治療とご自身の歯ブラシで、抜かずに歯を保存できる場合もあります。
歯医者が怖い場合はその旨もお伝えいただき、まずはご連絡ください。
Q. 歯周病予防の歯磨き粉を使っていれば、歯周病は治るのでしょうか?
A. 歯磨き粉やうがい薬は、あくまでも「補助的なもの」です。
一番重要なのは「しっかりプラークを落とす歯の磨き方をすること」です。
プラークが取れているかどうかを、一緒にしていきましょう!
歯科医師の当たり前は、患者さんの当たり前でないことが多いんです。
質問をいっぱいしていただくと「そうか!それも伝えなくちゃ!」と気付けます。
なので、小さいことと思わずに、遠慮なく質問してくださいね!

琢先生
